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くるしみ

おれはずるい。
相手の手の内がわかるまで、自分の心を開くことはない。
臆病で
自身がなくて、
いつも、びくびくしている。

こころの中の自分は鎧を着ている。
知識の鎧、常識の鎧、
外見を飾ろうとする鎧、みんなに紛れ込むための鎧。
重すぎて、もう着ていられないくらい重いのに、着ている。
鎧をぬげば、やせこけて、目ばかりギラつかせた、餓鬼のような俺がいる。

寛容さもなく、猜疑心が強く、人を信じることもできない。
こそこそと逃げ回り、時が過ぎるのを待つ。
死に憧れ、生きていることを嫌う。
美しさを嫌い、卑劣で卑怯なものに憧れる。
そのくせ、自分では実行できない。
他人の悪事を煽り、自分は知らぬ顔をしている。
多数に流され、ことの真意など興味すらない。

そんなおれは、人がおれのことを誤解するのを望んでいる。
ずるいおれは、ずるさをずるがしこく包み込む。
相変わらず、鎧で身をかため、鎧をぬげない自分でいる。

だけど、鎧をぬぎたがっている、ぬいだほうがもっとほんとうの
自分に近くなると、知っている自分もいる。

自分をさらけだす勇気がない、
さらけだすことで自分の身の置場を失いたくない自分が鎧をぬぎたがる。
誤解されることを苦しみ、鎧を嫌がるおれ。
ほんとうのことを言いたくてうずいているおれ。

まっとうに生きられたらどんなにいいかと、思う。
そうして、生きていけたらと。

拒否されたり、否定されることを恐れるあまり、
不正直で、その場をとりつくろう能力ばかりが身についてしまった。

鎧をつなぐ、ボルトの一本でも、ゆるめてくれないか。
ゆるめることは、おれにできるのか。

94/5/23
by oldyoung | 2005-02-25 22:34


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